スラヴ神話において、ホルスは太陽と光を象徴する神とされています。彼は時にダジボーグ（太陽神）の息子や化身とされることもあり、生命の源として人々に崇められていました。ホルスは太陽の輝きを司るだけでなく、戦士の守護神や運命を導く存在としても信仰されていたのです。今回は、そんなホルスの能力や神話に登場するエピソードを詳しく見ていきましょう！

 

 

ホルスとは

ホルス（Hors, Хорс）は、スラヴ神話に登場する太陽の神です。彼の名前は、古代ペルシャ語の「太陽」を意味する言葉と関連があるとも考えられており、東方の影響を受けた神の可能性もあります。

 

スラヴ神話では、ホルスは天空を駆け巡る太陽の戦士として描かれることが多く、時には夜の闇と戦い、太陽を取り戻す存在として語られています。また、一部の伝承では、ホルスはダジボーグ（Dazhbog）の息子または異名とされ、太陽の持つ生命力を象徴する神として信仰されました。

 

 

ホルスの能力

太陽を司る力

ホルスは太陽を司る神として、日々太陽を天に運ぶ役割を担っています。彼が空を駆けることで、昼が訪れ、大地が暖かさに包まれるとされていました。

 

闇を祓う力

ホルスはしばしば夜の闇や悪しき存在と戦う神として描かれます。冬至の頃には、彼が長き夜を終わらせるために戦い、やがて太陽を取り戻すという神話が伝えられています。

 

戦士を導く力

戦士たちは戦いの前にホルスに祈りを捧げ、その太陽の力が勝利へと導くよう願いました。特に冬の戦いでは、彼の加護を受けた軍勢は士気を高め、勝利を収めると信じられていました。

 

能力を象徴するエピソード

太陽を奪われたホルス

ある神話では、ホルスが夜の神モーロク（Morok）に太陽を奪われる話が伝えられています。 あらすじとしては以下の通りです。

 

あらすじ

冬の長い夜が訪れ、太陽が姿を消したとき、人々は寒さと飢えに苦しみました。これは、ホルスがモーロクとの戦いに敗れ、太陽を奪われたためだと信じられていました。しかし、ホルスは闇の中で力を蓄え、やがて冬至の時期に再び立ち上がります。

 

彼はモーロクの城へと向かい、激しい戦いの末、ついに太陽を奪還しました。そして、空へと太陽を放ち、世界に再び光をもたらしたのです。この神話は、冬至を超え、日が長くなることで春が訪れる自然の流れを表現しているとも言われています。

 

 

戦士を導くホルス

ある時、スラヴの戦士たちが敵軍との戦いに挑もうとしていました。しかし、戦いの日は厚い雲に覆われ、太陽の光が届かず、不吉な予感が漂っていました。そこで、戦士たちはホルスに祈りを捧げ、太陽の加護を求めました。

 

すると突然、雲が裂け、太陽の光が戦士たちを照らしました。士気が高まった彼らは、勇敢に戦い、ついに勝利を収めました。戦士たちはこれを「ホルスの祝福」と呼び、以後、戦の前には必ずホルスへの祈りを捧げるようになったといいます。

 

 

太陽と月の競争

別の伝説では、ホルスが月の神メシャツ（Mesyats）と競争をした話が伝えられています。 あらすじとしては以下の通りです。

 

あらすじ

ある日、ホルスとメシャツはどちらが速く空を駆けることができるかを競いました。ホルスは燃え上がる炎の戦車に乗り、メシャツは冷たい銀色の馬に乗っていました。競争の途中、ホルスは勢いよく空を駆け抜け、昼を支配することになり、一方でメシャツは夜を支配することになったのです。

 

この神話は、太陽と月の交代を説明するためのスラヴ神話の一つとされています。

 

まとめ